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分散業務受託型一人会社代表の憂鬱

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ぼくはいま、一人会社の代表をやっている。 当社のおもな業務構造としては、知人友人が経営/勤務する会社(複数)から、業務を受託して、ぼくが業務をこなすという形になっている。要するに、フリーランスをただ法人化しただけといっていいだろう。

ぼくは、同時に複数の会社と仕事をしている。自分の仕事時間を、複数社のために使う形で分割しているということになる。

そういう働き方にすっかり慣れてしまった今なのだが、正直に言おう、ぼくはちょっとどこかの会社の正社員になりたいと思っていた。つい最近のことだ。

なぜ正社員になりたいと思ったのか。理由は2つある。 1つは、ぼくの業務委託メインでの働き方は、売上が不安定だからだ。業務を多く頼まれた月は稼働時間が増えるし、少ない月は減る。しかし法人化していることもあり、個人事業主時代とは違って、役員報酬の形で自分に給与を定額で出さなくてはいけない。ただしこの役員報酬というのは、年度頭に決めたら、その年度中は基本的に変えてはいけないと法律で決まっている(税金逃れ対策)。なので、売上が上下動する状況では、正直役員報酬の設定が難しいし、そもそもなにより、売上がちゃんと上がり続けるのかという不安があることが大きい。 また、ぼくの仕事は、「必要性」と「代替可能性」の観点で考えた時に、さてどうかというと、正直なところ「必要性」があって頼まれている仕事が大半ではあるものの、ぼくしかできないという代替可能性の低さという意味では、さして代替可能性が低い(=リプレイスされにくい)とはいえないと思っている。 発注する側からすれば、頼みやすいが、別に不要になったら頼まなくていい。もちろんそれが業務委託契約というもので、それをぼくもわかってはいるが、現実に日々生きていくということを考えた時には、若干不安感がないといったら嘘になる。 だから、正社員になれば、そこで売り上げの上下動によって自分に報酬が払えるかわからないという問題はなくなるように思ったのだ。

もう1つは、取引先を分散して仕事をしていると「何のために力を使うか」という感覚がよくわからないということがある。 これがもし社員を複数かかえた企業経営者であれば、むしろ取引先を分散して、1つの取引先への依存リスクを下げつつ、自分が手を動かすわけではなくて自分は会社の舵取りに注力していき、手を動かすのは社員に任せるというのはスタンダードなことだと思う。ただ、自分ひとりが手を動かしている1人会社の場合では、結局自分自身だけが仕事をする主体であり、そうなったときに個人の意識として「何のための仕事か」を考える必要が出てくる。そうなったときに、本当に分散していることは、個人としての思考の難しさを生むように感じているのだ。

とはいえ、このスタイルで1年以上、個人事業主時代含めれば4年以上やっているということは、それなりにこれに適応しているということもまた真実だと思っている。 本当は、多分心のどこかでは「自分は1つに注力できない人間だ」ということを認識している。だけど、 「1つに注力している人のほうがかっこいいし、理想的である」という思い込みがあるから、それに合わせたくて、無理に理由をつくっているのかもしれない。今文章化していて、そこを改めて認識した。

その2つめのほうの理由は、じゃあ自分の思い込みのメタ認知と調整によってなんとかなるとして、売り上げの不安定さ問題については事実なので、現状のままでは問題解決はしない。

とはいえこれも、そもそもこれが問題なのかと問い直してもいいような気がしてきた。売上が不安定だとしても、どうせ会社は自分ひとりしかいないのだ。キャッシュフローが問題を起こして自分に給料が払えなかったところで、社員を困らせることにならない。自分自身が別に経済的に困窮しないならそれでいいじゃないかともいえるのだ。

うーん、ということで書いているうちに、やっぱり別にこのままでもいいんじゃないかと思い始めた。 これも正直に言おう。ぼくは秋にとある大企業の正社員採用に応募してみた。結果は、書類でお断りだった。たった1社しかエントリーしていないだけで何もわからないというのはそうなんだが、その経験によって、ぼくはショックを受けるとともに、納得した面があったのだ。なるほど、自分はいま会社員として採用されることは相当大変なんだな、と。30代後半で、すでに正社員をやめて4年以上たっているような人で、かつエンジニアやデザイナーのように明確なスキルセットのマッチングのない謎職種の人を採用したい会社があるのか?自分が採用担当の気持ちになってみればわかるが、そんな人は取りたくない。というより、採って失敗だったときに、上司に「なんでそんな人を採ろうとしたのか」と批判を受ける可能性があるだろう。そんないらんリスクを取る意味がないのだ。だったら、エントリーしてきたなかで、無難なキャリアと思考を持っていそうな人を採るべきだ。それが、採用担当にとっての合理である。

ということで、いったん就職は諦める。 分散業務受託型一人会社代表として、これからもやっていく。いつまでかは、わからないけれど。