ギブギブン

1ヶ月毎日ブログ書く企画ではじめたブログです。

市場で蕪を買う時のマインドセットと相場で株を買う時のそれ

お金との付き合い方というのはどこまでいっても難しいものだが、あれこれもがいてきた中で少し分かってきたことがある。 分かってきたことがある、といってもお金や経済に関して理解ができたというわけじゃない。あくまで自分の心の動きについて、ということだ。

20代の頃、試しに外貨取引をやってみた。要するにドル円で、円高になったときにドルを買って、円安に振れたときにドルを売る。ただそれを目指したということである。FXではない。FXはさすがにレバレッジを効かせている時点で博打でしかないと思っていたので、博打をやる気にはなれなかったから。 とはいえ今思えば、レバレッジがかかっていないだけで結局のところゼロサムゲームの博打をしていることには変わりがなかった。ほんのわずかな額(5万円にも満たなかったと思う)が、買った時よりも円高に振れただけで、心がドキドキしてしまって、全然落ち着かなったことを覚えている。そのときに学んだことは、「ああ、投機をすると心が落ち着かなくなってしまい、むしろこれお金以上に損している」と思ったので、投機はやめることにした。

そのあと、信託報酬含めた手数料率が低いインデックスファンドの投資信託というものの存在を知り、そして自動積立購入という方法があることも知った。また、ポートフォリオバランスという概念も知った。これらを使い、外国株、日本国債、などを月の金額を決めてインデックスファンドで自動積立で買うようにした。これはこれでよかった。ほとんど考えなくてよくなったので。

しかしながら、これは投資経験者あるあるだと思うが、自動積立に物足りなさを感じた。1つは、全然総額が増えないことである。もう1つは、やることがなさすぎて面白くないことである。 頭ではわかっていて、そもそも個別投資だと急激な価格下落リスクがあるために、個人が資産形成を目的として個別株投資をするのはリスキーだし時間がかかる、だから何も考えずにすむインデックスファンドの自動積立は素晴らしいのだ、と。それはそうなんだが、しかし数ヶ月に1回状況を見たときに、本当に微々たる額しか増えていないのを見ると、まあなんともいえない気持ちになったも事実だった。

そこで個別株にも多少手を出してみることにしたのだが、いやはややっぱり、個別株は値動きが激しい。もちろん上がることもあれば、下がることもある。これって、僕がかつて外貨取引で感じた「心がドキドキして日常に差し障る」という全く望んでいない状態を引き起こしかねないではないか、と気づいてしまった。それはいやなのだ。 僕が望んでいるのは、おくさんとの心穏やかの日々。ほんとにそれくらいである。しかし、もっている資産が円貯金だけだと、日本国債や日本円の信用や国際的価値が低下したときに、長期的に心穏やかな日々がもち得なくなる可能性がある。それがいやだから、投資をしているわけである。だが、短期的に心が乱されて、おくさんと過ごしているときにも頭が相場のことでいっぱいになるなんてのもまっぴらなのである。

なので考えたことは「投資は投資脳でやろう」ということだった。 もう少し抽象化すると、「やることごとに脳というかマインドセットを分けるようなつもりでやってたらいいんじゃないか」という話だ。 普段仕事をしているときは、その仕事の成果の向上に努めたり、効率化を意識したりする。それが仕事マインドセット。あとは、スーパーで食材を買うときは、安い野菜や魚が売っていたりしないかな、とか割引シールを探したりとかする。これが生活品買い物マインドセット。一方で、PCなどの電子機器やガジェット、自転車を買おうと考えるときは、それがもたらすワクワク感や性能などを大事にしつつコスパにも意識を払う技術品買い物マインドセットでいる。そして、個別株含めて投資をするときは、数日間でマイナス数十万円の資産減少が起こったとしても、それも「やむなし」で引き受けて、究極的には長期で資産形成できればいいんだと考える長期的投資マインドセットを使うようにする。

実際、ここまで言語化してふだんやってるわけではない、というか今はじめて言語化したんだが、実際にはこういうことをやっている気もする。スーパーで安い野菜を買うつもりで株を買うと、損失に対して過剰反応して心が乱れて苦しくなることは目に見えている。

そういえば「あつまれどうぶつの森」というNintendo Switchのゲームには、日曜になるとカブを売りに来るウリというキャラがいる。カブの売値は90-110ベルの間になっている。そして1週間の中でカブ価格は変動する。1週間で腐ってしまうので、損失が出たとしてもどこかのタイミングで売らないといけない。そういう遊びである。 現実世界の投資との違いは、まずそもそもゲーム内のお金の増減だから現実に関係ない、ということがあるとして(笑)、あとは1週間で価値が消滅してしまうということは現実の証券においてはほぼない。それどころか、数十年保有し続けて、価格が数十倍、数百倍になるような証券を持っていることが長期投資の観点では成功といえる(売り買いによる時間、手間、手数料、意識の消耗、などを避けることができるのだ)。

ゲームにおけるカブの売り買いから株について学べることはほとんどない。が、そもそも現実世界で見ても、日用品の買い物をいくらしたところで、株を買うことや保有することに伴う心理変動の扱い方について学ぶことはできないような気がしている。 知識を得つつ、実際に売買して、その数値的結果と心理を突き合わせて振り返り、わかったことを見える化していく。というような経験が、決して資産を多く持っていない僕みたいな個人が、人生を不幸にしないために、長く投資をしていく上では重要なんじゃないかと思ったりしている。

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