ギブギブン

1ヶ月毎日ブログ書く企画ではじめたブログです。

5年遅いんだ、婚活が。

前回、婚活界に横たわる矛盾について述べた。

そこから思いついたこと。

「大都市で生活する大卒者の婚活は5年遅い(ケースが多そう)」

こう思った背景だが。
まず、統計的に示されている、婚姻に関するファクトを2つ挙げる。

・ 婚姻率(人口あたりの年間婚姻者数)は1971年から低下傾向をつづけている。
・ 初婚年齢は男女ともに、1950年代と比べて、2015年では5年ほど上がっている。
(*1)

次に、人口移動についてのファクト。

・ 大都市圏への人口移動が顕著。特に関東圏への集中が著しい。
(*2)

最後に、学歴と、世代の人数についてのファクト。

・ 90年代から大学進学率は伸長して今は50%を超す。
・ 若年層の数は第二次ベビーブーム生まれ(例 1974年、209万人)以降減っているのに、大学進学者数は増えている。
(*3)

これらのファクトを重ねて見えてくるのは、「大都市に移動して、大学進学する」生き方をする人の割合が増えているということだ。
その結果何が起きるか?
労働市場への参入年齢がかつてに比べて遅い人が増え、それに引っ張られて、結婚のようなライフイベントの設定時期が遅くなる。

また、これは推測ではあるが、大都市部での生活においては、地方の因習や早期結婚のプレッシャーを受けることなく、自分の仕事ややりたいことの追求に時間を投じる(あるいはなんとなく生きている)中で、婚姻の必要性に迫られることなく、年を重ねていく、ということが当たり前になっていく。

これは良いか、悪いか?
単純に善悪の問題ではない。それこそ人の生き方の尊重の問題でもある。
ちょっと話が逸れるが、生き方の尊重という点では、LGBTなどの性の多様性も重要だ。あるいは、外国人。日本に来て、定住して働いて生きていく人たちが感じる課題、社会の生き辛さも認識していくことも欠かせない。
「日本に生まれたら、結婚して子どもを持つのが社会の常識です」ということが、いまや特に大都市部では非常識になりつつある。マジョリティの解体だ。

確かに、「日本人の出生率」が上がらないと国家運営では未来に課題山積かもしれない。だが、そもそも出生率の上がりにくく、未来へのツケを生む環境を作ってきた責任は、国家だけでなく、今までの社会に関与していたすべてのひとにある、と思う。
それを、これから生きる人たち、とりわけ辛い目を見ているマイノリティに転嫁して負わせるような思想は、決して認められない。

と、脱線したけど、何が言いたいのかというと

「大都市に住んで、大学進学を選んだ時点で、日本社会が作ってきた『結婚というライフイベントを先送りするほうが得に見える/そもそもしなくてもよい』という環境に身を投じているのだということを、自覚する必要があるのではないか」

…ぼくが、単に状況を認識したかったから、言うんだけど(笑)。

そこに至り、
「5年遅い」
という冒頭の言葉が出てくる。

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5年というのは感覚値で言ってるわけではない。1950年代の初婚年齢の平均値と、今のギャップが5年だから、分かりやすい基準として、そう言っている。
個々の事例の差異を汲みとれていない言葉のは確かだが、1ワードに集約しようとした結果なので、ご理解いただきたい。

何が一番の苦しみかというと、この「5年遅い」に気づくのは、自分が5年遅い当事者になってからということだ。

どうしてもっと早くに行動しておかなかったのだろう?
あのときに付き合っていたひとを大切にしなかったのだろう?

とかとか。基本的にまず後悔から入る羽目になる。

そう。婚活の苦悩には、それが、当事者にならない限り共感されづらいものであることも、ひとつにはあるだろう。

ちょっと話が逸れる。
私は先日、福岡県のとある地方都市の大型商業施設で、休日、家族連れなど対象に、とある遊び体験してもらうスタッフの仕事をしていた。
そこで来る親子連れを見て感じたのは、「東京の親子連れに比べて、親子の年齢が近いケースが圧倒的に多い」ということだった。

たとえば、3歳のお子さんのいるご両親が、どう見ても、20代前半とか。
15歳くらいのお子さんのいるお父さんが、40歳未満にしか見えないとか。
そういうケースが多いことにびっくりした。

たとえばその方々に「東京では結婚したいのに結婚できないなど、色々な婚活にまつわる問題があります」と言って、共感されるだろうか?
「忙しいんですね」という理解はされるかもしれないが、「結婚したいなら、高校卒業してまもなく、20歳くらいで、そのとき付き合っている人と結婚すればいいのでは?ぼく/わたしみたいに」という返答が出てきそうだと思うのだ(予測だけど)。

同じ日本という尺で語ろうとしても、都市と地方など、バックグラウンドによる環境の差異が大きいので、単純化した全体論は成り立たないだろう。

さらに、同じ大都市の中でも、当然ながら個々の差異は大きい。
たとえば、大学から同年齢で付き合って、22歳で卒業して就職と同時に結婚、というタイミングでライフイベントを置くことに成功しているひとたちも大勢いれば、付き合っても結婚に至らず別れをくりかえすとか、気づいたら40歳を過ぎてしまったというひともたくさんいる。

1950年と、今の一番の差。それは、生き方の多様性が増え、かつ、それぞれが小さいクラスタに分割されることで、体験と共感が、断絶されていることなのかもしれない。

でも、これを「古き良き時代、シンプルなモデルだけに戻せ!」というのは狂気の沙汰。
そんなことはありえない。
そもそも、「古きが良き」であるというのは、ただの回顧主義。因習を当然とする環境の中で、ひどい目に遭った、人生を返してくれ、と思っているひとも大勢いることだろう。

現実の変化に向き合って、そして少し先を見つめながら、なしたいこと、を考え続けることが必要だと思う。ひとりひとりも、社会としても。
が、一方で、その行為の際に要求されるアタマと心の負荷は、変わらない現在と未来の連続を求めようとするマインドセットには、なかなかヘビーなものでもあるだろう。
ぼくも正直、想像するたびに、ウッとなる部分がある。変化を当然のものとして扱うのは、結構エネルギーが必要だ。

かように考えると、せめてできることとしては、結婚したいと思って行動しているひとたちは、守旧思想の方々の意見を取り入れないほうがいいと思う。たとえ同じ「結婚」だとしても、過去と今でそれが意味するものも違うし、個々の事情でも意味は大きく違う。余計な重荷でしかない「アドバイス」は頂戴しなくていい。

じぶんの現実に向き合うことへの助言や支援をしてくれる、未来志向のメンターや知己のいうことに耳を傾けつつ、彼らに自分の体験を率直に開示してフィードバックをもらいながら、じぶんの「受け容れて、前に進む力」を徐々に高めていく、変化を受け容れる、「変容のプロセス」を歩むのが、良いのではないだろうかと。

※傾聴なく、相手が悪いとか、キミが悪いとか言う人は、未来志向の対話相手ではないので、こういう人に相談するのも辞めた方がいいと思われる。そういう人は概して自分の価値観を押し付けたいだけなので、変容するプロセスの中では有害でしかない。うまく距離をとること。本当に自分のことを気にかけてくれる人は、まず傾聴から入って、対話をしてくれるはずだ。

そしてこれまで色々文句を言ってきた(笑)婚活サービスなども、その変容のプロセスの中で、目的と対象を適切に見極めて使うなら。うまく出会いの場として活用して、良い関係をつくるキッカケとなり、場合によってはその先に結婚することもできるのではないかと思う。ただぼくが気づいたのは、「見極め」と「使い所」が難しいので、ただそれに振り回されると疲弊しちゃうよっ、てことで。
あとは、結婚相談所を使うと、そこの人がプロの対話相手として、うまく噛み合うことで、変容プロセスを期間を圧縮して自分に起こすことも可能だと思うので、結果的に行動開始から短い期間で結婚できることもあると思う。興味がある人は検討してよいかと(誰にでも上手くいくとは言わない)。

もしそういった取り組みの検証サイクルをまわしても、結婚できなかったとしても。
もちろん、それをいつの時点で判断するかにはよるが。初婚のあと、離婚に至り、その後再婚することなく、という人もあるだろうし。

自らを責めることも、実らなかった相手を責めることも、親や家庭を責めることも、社会や企業を責めることも。
いずれも自分への辛さに帰ってくるので、一時的にはやむを得ないにせよ、長く何かを責め続けるのはよくないと思う。
結婚したから勝ちでもなければ、しなかったから負けでもない。

時間は巻き戻せない。が、人生の正解は、ない。
営みの価値を決めるのは、自分の内なるもの。
人生を決定論的に扱ってサジを投げるよりも、自分の認識を変えることで世界自体が変わっていくと思うほうが、自分を受け容れて、楽しく生きていけそう。

ということで、自分で送る、自分への言葉。

「5年遅い。でも、それを認めて、今から変容のプロセスを。人生で今が一番、若いのだから。」

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ということで、婚活ネタは、今日でいったん終わりにします。色々なフィードバックいただきありがとうございました。


*1

www.garbagenews.net

*2

http://www.soumu.go.jp/main_content/000452793.pdf

*3

1.出生数、出生率の推移|平成27年版 少子化社会対策白書(概要<HTML形式>) - 内閣府

www.nikkei.com