ギブギブン

1ヶ月毎日ブログ書く企画ではじめたブログです。

婚活パーティの学び 【Game 1 : テクノロジーとビジネス、そしてハルヒ】

カチカツ(前記事参照)を始めてから、2つの婚活パーティに行った。

1つ目は「ゲーム・マンガ・アニメ好きの人参加しましょう」なるタイトルが付けられた大手マッチング企業主催の婚活パーティだった。今日はそれについて書きたい。

学習目標とその崩壊

方式としては、2人が並んで座れる半個室のブースがいくつも用意されている大部屋のようなところで、男女1対1のペアのトークを数分間行い、それをすべてのペアで繰り返すというもの。ぼくも過去に参加したものと同じである。男性は回転寿司の皿みたいなのもので、トークが終わる度に荷物を持って席を立ち、となりのブースに向かうのだ。ぐるぐると。

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ぼくがこの日設定していた学習のための仮説は
「ミニマムのハードルをクリアする身だしなみ&落ち着き」
である。 いやー、入門どころかそんなん人として当たり前じゃないかと思った方は、モテるに必要な外見を身にまとうことが身体化しているのだ。ぼくにとっては、これも学習として十分に目標設定すべきお題である。

が、早くもこのお題は頓挫することになった。
結論、ぼくは開場時刻を正確に把握しておらず、到着するのがギリギリの時間になりそうなことが移動中に発覚したのだ。さらに、会場ビルがどこか分からず、会場付近で数分駆け回っていた。おかげでもう、完全に汗だくだ。そしてメンタルは焦りまくり。達成しようと思った目標を完全に崩壊した。

とはいっても参加してみなくては学べない。なんとか会場を見つけ出し、数分の遅れで受付を済ませ、会場入りした。

アプリの不可解な質問

この日は、男性6人、女性6人程度が参加していた。
開始前に、パーティのときに使うアプリを用いてプロフィールを事前に入力しておき、パーティが開始されると、そこで参加している異性のプロフィールをすべてアプリ上で見ることができる、という方式だった。
婚活パーティにも、IT化の波は押し寄せてきているのだ。

かつてぼくが参加したのは、紙にプロフィールを書いて、トークのときに交換して見せ合うというローテクなものだったが、それに比べると格段のハイテクと言えよう。
だが大事なのは、その方式が、男女のマッチングに役立つかどうかということだ。テクノロジーは手段であって目的じゃない。

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かような観点から、今回わかったことがある。
プロフィールを一覧で見られるアプリは便利だが、そもそもアンケートの設問が的外れな場合、真価は発揮されないということだ。
具体例を述べよう。今回「ゲーム・マンガ・アニメ好き」ということで、それを想定したと思われるプロフィール質問が入っていたのだが、肝心の質問がこれだ。

「オタクに目覚めたキッカケの作品は?」

いやいやいやいや、オタクに目覚めたかどうかなんで決めつけてるの!ってオタクの定義ってなんだ!示してくれ!
さらに衝撃的なことに、この質問は自由回答ではなく、4択なのである。

  1. ワンピース
  2. エヴァ
  3. ハルヒ
  4. その他

ええええええ!なんだその時代もジャンルもバラバラな選択肢、っていうかそもそもどういう設定だよ!
しかも確か必須回答を要求されており、どれかを入れなくてはならない。問いも選択肢もムチャなアンケートに人は茫洋とする、という学びを得てしまった。
ぼくはどうしようもなく、ハルヒを選んだ。エヴァは直撃世代じゃないし、ワンピースは漫画を途中まで読んだだけだし、強いて言えばハルヒが近い。しかし、ハルヒでオタクになったわけではないのだが。ってオタクとは何か(再掲)。しかもこれが、相手の女性に表示されるのだ。どうしろと。

唯一、この質問の使いみちは、ペアになった人と会話する時に「この質問、すごい困りませんでしたか?」といって同意とちょっとした笑いを引き出すのに使えたかな? という程度だった。いやたぶん笑い引き出せてないっす盛りましたすいません。

しかし、なんでこんな設問入れたんだ。

噛み合わない会話

プロフィール閲覧アプリのことは置いておいて本題のパーティなのだが。
今回は、1回あたり10分程度会話時間が与えられた。プロフィールを見ながら、だいたいはアニメやゲームやらで何が好きか、みたいな話をする。
しかし、問題に気づいた。参加している女性が若めで、ぼくと年齢層が違って、薫陶を受けたアニメや漫画の話が合わないのだ。

スラムダンクは何回も読みましたねぇ」とぼくが言っても
「あ、名前は聞いたことがあります」なる返事が相手から来る。
するとだいたい話は詰む。
残る時間を、何が好きかというファクト探りに使うこの無意味さたるや。

ひとりの女性(以後Cさん)とは、なぜかもうアニメや漫画の話にならなかった。出身地のことや今のしごとの話をして、世間話のような形で終わった。

そして、1時間ほどかけて全ペアでのトークが終了すると、「誰が気になったか」をアプリ上で選択するお時間になった。そこで、気になった人の名前をアプリ上でタップして決定するとハートマークが相手に送られるというものだ。
これもかつて参加したパーティでは、紙に手書きで、運営スタッフが回収して、さらに○をつけて紙を返すというローテクな処理をしていたが、それもアプリだと一発だ。便利だね。
なお、ぼくは1人の女性を除いて、全員に「気になった」マークをつけた。あ、その1人というのは、さっきの世間話をしていた人ではないまた別の人(Dさん)だ。Dさんは、どうもタイプじゃないなぁと思ったのだ。すいません。

ちなみに、だいたいに「気になった」マークを付けておくというのは、おそらく男性側にとっては常套手段である。というのも、過去参加してみて、女性はたぶんほとんど「気になった」をつけないということが分かったからだ。気に入った人がいたら、「気になった」をつけるみたいだ。だが数学的にいって、それを男性側もやると、マッチングの確率が低下するのは想像のとおりだ。したがって、「この人はちょっと…」というのでなければ、「気になった」を付けておくことを勧める(誰にだよ)。
そして、「誰から気になった」を付けてもらったかが、その後で分かる。ぼくは、CさんとDさんから「気になった」がついていた。え、世間話しかしなかったのに!

そして、次が「誰とのカップルを希望するか」という意思表示の時間となる。これも、アプリ上で行える。第1希望から第3希望までを、リストから選択して決定するのだ。
そのへん、どういう重み付け処理がされるプログラムなのか全く謎だが、希望順位は重要だ。
ドラフトは上位指名しなくては成立しない。

だが、これも数学的にいうと「人気投票ゲーム」みたいな構造になっていることを忘れてはいけない。
たとえば、絶世の美女が1人いて、男性の100%がその人を第1希望に選んでしまうことが起きるとすると、カップルのマッチング率はとてつもなく低くなるだろう。「誰とならマッチングできそうか」という観点で、相対的に考えることが重要だ。
って、もうなんかこれって「カチカツ」からすっごく外れてるよね。でもまずカップルにならないとこのゲームは進まないんだよなぁ。疲れる。

ぼくは、第1希望をCさんにつけた。第2希望と第3希望は適当につけた。たぶんカップリングがあるとするなら、今日はここしかないだろうと思った。

そしてカップリングへ

で、結果発表。これも、アプリ上で発表される。

Cさんとのカップリングが成立した。ふー、良かった。良かったのか? そもそも大してお題に沿った話してなくね?

このあと、男性は先に退出となる。荷物を持って、ビルから出る。ただしカップリングが成立した人に限っては指示されたポイントで待つことになる。
ぼくは指示された場所で待っていたら、Cさんが降りてきた。挨拶をして、じゃあご飯でも食べますか(夜だし)みたいな感じでレストランやら何やらがあるほうに歩いていった。

が、店がだいたい全部しまっていたので、家の方角を聞いて、そっちに近そうな繁華街まで電車で移動した。そのあと、適当な居酒屋で小1時間ほど話して、連絡先を交換してお開きにした。

1つめの婚活パーティの経緯はだいたいこんな感じである。

仕組みの謎、そしてビジネスを考える

他にも、いくつか学びがあったので記しておきたい。

・連絡先をパーティ中に交換できるルール&仕組みがあったが、ほぼ無意味

LINE IDやメールアドレスを専用の用紙に書いて、ペアトークのときに渡すことができる。以下の画像のようなものだ。

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だが、これは機能しない。
試しに、この紙に名前とメールアドレスを書いてすべてのペアトークのときに渡してみたのだが、誰一人、女性側から、この紙をもらわなかったのだ。
「いやそれはお前がモテないからだろ!」というツッコミはごもっともかもしれないが、1つ反証がある。ぼくとカップル成立したCさんすら、ぼくにこの紙をくれなかったのである(笑)。
この紙は、男女ともに、異性の参加人数分配られていた。だが、使ったのは男性ばかりである。実際、ブースを訪れてみると後半になると、女性は何枚かこの紙を持っていた。

要するに、これはほぼ男性側が使うだけであって、そこに連絡をとる女性はまずいない。そしてカップリングしたら、それはそのときにちゃんと連絡先交換するものだ。今回ぼくとCさんがそうしたように。
じゃあこのシステムは何のために存在しているのか?
表現は悪いのだが、「パーティ中の連絡先交換できます!」と言って、男性参加者を増加させるための「価値があるように見せる仕組み」ではないだろうか。

・このビジネスは男性参加者が払うカネが利益の源泉

婚活パーティの参加費はいくらか。
ググってもらえばすぐに出てくるが、もちろん会社によっても違うし、設定されているテーマや年齢層によってもまちまちだ。
ぼくが調べた中で、もっとも男性と女性の参加費が違っていたものはなにか?
想像していただきたい。

答えとしては、「女子大生&ヤングExecutive男性」なるテーマが設定されていたパーティだ。
女性参加費、500円。男性参加費、なんと14,500円。
差額、14,000円。
これって、えーっと…。
闇を色々と感じさせる。

ちなみにぼくが今回参加したパーティの参加費は、女性2,000円、男性6,000円だった。
まー、これも差額はあるよねーって感じだけど、ぼくが着目したのは女性の参加費である。
少なくとも女性も2,000円は払うのだ。多少なりとも真剣さ、投資したからには行動しようという思想のはずだ、という仮説を立てていた。

実際それはそうだったと思う。
ぼくが選んだパーティが、女性500円や無料のパーティだったら、きっとぼくに対するマッチングは起こらなかっただろう。

自分が女性の立場だとして、500円だったら、適当に過ごすだろうことは想像がつく。

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このブログを読んでいる女性がどれだけおられる定かではないが、ぼくが調べて理解したことをお伝えしておきたい。

婚活パーティは、開催間近になっても、女性の参加者が男性申込者に比べて著しく不足している場合、女性の参加費は限りなく低下する。なんなら、無料になることも少なくない。
それは、女性比率が不足していると、金づるである男性の満足度が下がり、パーティが中止になる、または参加しても不満が溜まってリピーターにならなくなってしまうからだ。その事態を避けるためには、女性は0円だろうがなんだろうがとにかく来て欲しいのだ。多少、パーティとしての年齢や要求スペックがずれていたって、関係ない。

ということで、初めて参加するなら、最初っから500円とか1,000円とかのを選んでもいいし、直前まで待ってみて無料で参加してもいいと思うのだが、自分が投じた額によって、それが少ないと自分の行動意欲も低下してしまう実感があるなら、無理に参加しなくていいと思う。
財布は傷まなくても、時間とエネルギーを消耗することには違いないので。

婚活マッチングビジネスは、アプリだろうがパーティだろうが、男性の参加費や月額会費を利益源泉としていることは不動の真実。それを受け入れた上で、使うかどうか選べばいい。
誤解を恐れずにいうと、女性はこのプラットフォームで不可欠な存在であるが、顧客でないことも多いということだ。

何十回も婚活パーティに行っている男性はいろんな意味ですごいなーと思う。そういう人のおかげで婚活会社は儲かるのだ。ビジネスのキモは、とかく女性を集め、それにやってくる男性を顧客とすること。そして、リピートしてもらうこと。
おかしなことにマッチングビジネスは、「リピートしない」ほうが顧客満足度が高いはずなのだが、現実のビジネスは「リピートしてもらう」ことが大切だ。
新規顧客獲得は既存顧客に比べてはるかにコストがかかるというのはビジネス研究でよく指摘される話。

こうつらつらと書くと、このビジネスに否定的な立場に見えるかもしれない。が、ぼくはそんなことは思っていない。だってビジネスだもの。儲けてこそ、つづく!正直、すごいと思う。人類の仕組みを見事に突いている。

ぼくは、顧客なのかどうか。現時点では数千円をショットで払っただけなので、顧客とは言えない。獲得コストもあるはずだし。じゃあこのビジネスの顧客になりたいのか? と問われると、正直そこまでなりたいわけではない。 だがしかし、カチカツを進める上で、このアプローチも重要だ。サービスを使わせてもらっているわけだし、最大限に学びを作っていきたい。

なお、本稿でマッチングビジネスを考えるにあたっては、『プラットフォーム革命――経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか』という書籍が大変参考になる。おすすめしたい。いや普通にすごく良い本だ。

マッチングサービスの抱える構造的矛盾に迫る記事としてはこちらが面白い。

www.dhbr.net

って、本当に何が言いたかったんだ、今日! 結局、書き始めるとこういう誰得な分析に走ってしまう癖は2年経ってもまるで変わらないことがよくわかった。

次回は、2つめの婚活パーティのことを書く。

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※ロゴ画像はこちらのサイトで作った。

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